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平井博美さんのセラピストライフ〜リトリートセラピスト

2021/10/01
平井博美さんのセラピストライフ〜リトリートセラピスト

 大阪や和歌山など関西地域にて、リトリートセラピストとして活動している、Earth and Hands Retreatの平井博美さんのセラピストライフを紹介します。

【育成セラピスト】編はこちら

 

 平井さんは、現在、和歌山県和歌浦にあるホテル「ネイチャーリゾート“エピカリス”」に、月に数回、お客様をお迎えしてセラピーを提供しています。


 和歌浦はその名が示すように、平安貴族から愛された和歌の聖地です。ホテルは絶景のオーシャンビューに臨み、周囲には林の中を散策するコースがあるなど、豊かな自然に囲まれています。



日常から離れて自分を大切にする時間もまたセラピーとなる

 そうした場所で行われる平井さんのセラピーは、客室でのトリートメントだけではありません。


 気持ちよく風に吹かれながら裸足で砂浜を歩いたり、アーシングで大地とつながる感覚を取り戻したり、瞑想して自分と向き合ったり……。屋外でヘッドスパをすることもあるのだそう。


 そんなふうに日常から離れて自分を大切にする時間もまた、平井さんが提供するセラピーの一部なのです。

 

「情報を遮断して、“自分の中に何があるのか?” “自分が求めているものは何か?”と自分の中に入る体験をして欲しいのです。自然に触れることも、私のトリートメントも、そのきっかけになるのではないかと思います。これがこの場所でセラピーをする理由です」(平井さん談)

 

 平井さんのもとを訪れるお客様は、彼女のトリートメントとガイドによって、日頃の生活からしばし離れ、自身を見つめ直すという贅沢な時間を過ごします。


「こういう時間の過ごし方を忘れていた」、「自分にことを後回しにしていた」と涙を流すお客様もいるのだそうです。



触れることは、人生そのもの

 独立する以前、平井さんは2005年から10年間ほど、大阪の「ザ・リッツ・カールトン ホテル」で、ホテルスパのインストラクターとして活動していました。とくに、フェイシャルのメニューを1から作るという貴重な経験もしたそうです。(【育成セラピスト編】参照)

 

 実は平井さんにとって大きな転機となったのは身近な人の突然の死でした。前日にも笑って一緒に食事をした親しい人が、突然、自ら死を選んだのです。

 親しく語り合った存在が急にいなくなってしまうという現実に、彼女は大きな衝撃を受けます。


 その時に、自分に何か出来なかったのだろうか?と考えるとともに、セラピストとしての自分の生き方についても考えるようになります。 

 

 インストラクターとして教えてきた「丁寧さ」は、独り善がりだったのではないか?テクニックにとらわれて、人の体に触れることの意味を深く考えてこなかったのではないか?

 言葉にならないような辛さを抱えた人に寄り添うために必要なのは、掛ける言葉だけではなくて、心を込めて「触れる」ことなのかもしれない。

 

 そのように、人が人に触れることが持つ意味を考えるようになってからは、「触れること」の意味も、施術をする手も変わっていったと、平井さんは言います。


 そして、自分の理想のセラピーの在り方についても少しずつ模索していったそうです。

 

「人は生まれ落ちたときから人の手に触れられ、いろいろなものに触れながら人生を歩んで、最期も人の手に触れられて終わる。触れることは、人生そのものなのかもしれないですね」(平井さん談)


自然の中でのリトリートそしてセラピーを

 その後、平井さんはホテルスパのスタイルを応用して、2012年に自宅サロンを開業し、2016年には大阪の北堀江でサロンをオープンします。


 当時は、多くの出会いも、喜びもある充実したセラピストライフでしたが、

「なんだかいい格好をしている感じで。これは本当の自分ではないのでは」と思う自分がいつも心のどこかにあったそうです。


 また、彼女は独立後しばらく経ってからスクールも開始していて、卒業後の生徒たちにも力になれる方法を考えていました。


 施設と地域とセラピストが結びついて、お金と人の流れを作っていく構想の青写真も思い描いていたそうです。

 

 平井さんは自分の考えをまとめるために、自分のやりたいことを「未来予想図」に書き出すことを思い立ちます、2018年8月のことでした。


 自分のミッションを中心に、それを実行する方法を書き出していったのです。


 現在の平井さんの「自然の中でのリトリート+セラピー」というスタイルも、この時から具体的に言葉になり始めます。

 

 そして、海辺のリゾートホテルのオープンを耳にした平井さんは、そこを何度も訪ねて、支配人に自分のプランを相談できるほどの関係性を築きます。


 そうして実現したのが、ネイチャーリゾート“エピカリス”でのリトリートセラピー。

 

 そこでは、平井さんの手だけでなく、大地や海や風も、お客様の体に触れ、心を癒やします。自然の中で1人の人間に戻る時間で感じるのは、きっと孤独ではなく、すべての生命・自然とつながり、生かされているという、生(せい)の実感なのかもしれません。


校長からのメッセージ

 平井さんのリトリートセラピーでは、施術時間と含めて、お客様は4時間ほど滞在し、自然の中で心と体を癒やします。平均のお客様単価は25,000円ほど。

 

 お客様はホームページやSNS (InstagramやFacebook)をご覧になってのご予約が多いとのこと。2、3ヶ月に1回の頻度で定期的にご利用される方もいるそうです。


 リゾートホテルは立地を「ギリシャ エーゲ海」を引き合いに出しているだけあって、平井さんのリトリートセラピーは、お客様にとっては忙しい日常から解放される、年に数回のショートトリップなのかもしれません。

 

 日常から離れてリフレッシュするという「リトリート」は、日本でも随分と認知されてきたように思います。


 リトリートとセラピーを結びつけた着想について平井さんに聞くと、実はロッキー山脈の麓、コロラドに留学していたことがある、と話してくれました。


 大自然に囲まれたコロラドを今でも懐かしく思い出すそうで、自然とつながることで得られる感覚を、都会で暮らす日本人も知ってほしいという思いもあるそうです。


 

 現在は、和歌浦のホテルで活動している平井さんですが、今後はリトリートセラピーを実践できる場所や施設を増やしていくことも考えていると話してくれました。


 

 まさにリトリートできる自然豊かな地方都市に、セラピストが都会のお客様をお迎えすることは「セラピーツーリズム」と呼べるのではないでしょうか。


地球浴(ブログ)