大阪梅田を拠点に、東京や仙台でも活動している「La mar(ラ・マール)」代表、鈴木みえさんのセラピストライフを紹介します。
セラピスト歴25年の鈴木さんのサロン「Crystal+La mar」のコンセプトは「Spring of life」。
泉のように枯れることない豊かさ、新緑の春の弾むような毎日を送ってほしいと願って活動しているそうです。
彼女が、現在、主に提供しているのは、魂からのメッセージを読み取るリーディングと、リーディングとパワーストーンのブレスレット制作をセットにした「リーディングブレスレット」、夢を叶えるためのコンサルティングなど。
リーディングは延べ6万人以上の実績があり、ブレスレットについては延べ2万本以上作ってきたとのことですから驚きです。
彼女が提供する「リーディングブレスレット」がユニークなのは、新しくブレスレットを作るだけでなく、以前に作ったブレスレットをお客様の今の状態に合わせて再調整する「メンテナンス」というサービスも提供している点です。
初めてのお客様の場合、その方の状態をリーディングして、ストーンを組み合わせてブレスレットを作るわけですが、再度サロンに訪れた時にはお客様の状態もストーンの状態も変わっているので、石の交換や配置換えなどの再調整が必要になるという事のようです。
パワーストーンというと、誕生石だったり、自分がテーマとしているメッセージを持つ石だったりと、ずっと同じ物を持ち続けるというイメージが私の中にあっただけに、メンテナンスをするという発想に新鮮な驚きがありました。
「ブレスレットが欲しい方には、その方が今どういう状態なのかを見て、バランスを取るための石を組み合わせて、私が作るようにしています。ただ、人の状態は変わるものなので、定期的にお越しいただいて、メンテナンスとして作り変えています。石を組み換える時は、『まだ頑張ります』っていう石を残して、『お役目が終わりました』っていう石を外して、『私に任せて』っていう新しい石を入れるみたいな感じです」(鈴木さん談)
お客様がサロンに再訪するのは、誕生日ごとだったり、節目の時だったりと様々ですが、だいたい1ヶ月〜1年ごとに鈴木さんのリーディングを受け、ブレスレットをメンテナンスするというサイクルがあるそうです。
つまり、彼女の活動の中心はパワーストーンの販売ではなくて、まさにセッションセラピストとしての活動にあるのです。
その点で言えば、「石の声を聞く」という手法も、鈴木さんのセッションにおける大切な価値となっているようです。
「石は、お客様が次に来る時までのサポーターです。人って素直に全部話せなかったり、言葉にできなかったりするんですけど、石は全部知っているので、次にサロンにいらっしゃるまでの間に何があったかを教えてくれてくれるんですね」(鈴木さん談)
不思議な話ではありますが、事実、鈴木さんが提供するリーディング、ブレスレット製作、そしてメンテナンスといった流れが、とても自然なものとしてお客様に届いています。
彼女がこの独自にスタイルを生み出すまでに、どのような気付きを得てきたのか。これまでの歩みを振り返っていただきました。
この世界って、本当に終わりがないですね
大阪で生まれ育った鈴木さんは、幼い頃から感受性がとても強く、傷つきやすい子どもだったそうです。
幼稚園に通っていた頃、大人や友達が話す実際の声と心の声が副音声のように聞こえていて、その戸惑いから両親や祖父母から心配されるほどに口数が少なかったそうです。
また、「子どもの頃からずっと、自分に肉体があることに違和感があるんですよ」と、鈴木さんは言います。
「実は臨死体験を2度していて。1つは、本当に空を飛べると思って堤防から飛んだ時。もう1つは、“向こうの世界”に戻れるって思ってお風呂にダイブした時。それで助けられちゃって、いよいよ諦めたんですよね。仕方ないなって」(鈴木さん談)
鈴木さんがこの世界に適応し始めたきっかけは、小学校に上がる前の事。
お母さんの料理を手伝っている時に、包丁で指を怪我をしたそうです。
指から流れた血を見ながら、魂と肉体のズレを自覚した鈴木さんは「私は何者なんだろう」と自問。
そして「このままでは生きていけない」と気が付き、押し入れに入って1人で“儀式”をしたそうです。
それがいったいどんなものだったのかは、具体的に思い出せないとのことですが、それ以来、人の声と心の声が副音声で聞こえることが減っていき、肉体と魂のズレに悩まされることも減っていったといいます。
鈴木さんは、感受性の豊かさ故に生きづらさを感じ、そしてそれを幼いながらも自ら解決を試みたことで、社会に溶け込む力を身に付けていったのかもしれません。
そんな彼女がセラピストの世界に入ったのが、25歳の頃でした。
社会人2年目の22歳で結婚し、2人目のお子さんを授かった直後に、阪神淡路大震災で被災。その後、仙台へ転勤したそうです。
環境の変化によるストレスと慣れない土地での子育てで、鈴木さんは体調を崩してしまいました。
そこで、「子育て中のお母さんが気兼ねなく過ごせる安心な場所」の必要性を感じたことから、リフレクソロジーを勉強し、幼稚園のママ友を自宅に招いて施術をするようになったそうです。
当時の価格は1人500円で、「小さなお子さんを連れてきてもいい」ということもあって、当初目標にしていた100人はあっという間に達成でき、さらにもう100人と目標を掲げて価格を1,000〜1,500円に上げても、やはりすぐに達成できたそうです。
この経験でセラピストとして生きていける手応えを感じ、鈴木さんはボディーケアスキルも学び、1998年にマンションの一室でサロンをオープン。
その後、一戸建てに引っ越して自宅の一室にサロンを移転させます。
幼い頃からの鈴木さんの感受性の豊かさが再び力を発揮し始めたのは、ボディーケアを提供するようになってからなのだそうです。
「ボディーを触り始めた時に、ラメみたいな粒子がフワッと上から目の前に降ってくるようになったんですよ。綺麗だなぁと思って見てると、その中にお客様の心の状態とか、悩みだとか、色んなものが見えてくるようになったんです。例えば、会社で隣に苦手な上司がいてストレスがあるとかですね。それを伝えると『何で分かるんですか』って驚かれることもあって。」(鈴木さん談)
とはいえ、当時の鈴木さんは「視える」というだけで、課題を解決に導く方法を言語化しきれず、どこまでそれをお客様に伝えていいのかと悩んだそうです。
そんな頃に出合ったのが、「カモワン・タロット」でした。
鈴木さんは、2004年に発祥の地フランス、スペインを訪れ、後継者であるフィリップ・カモワン氏に師事します。
カモワン・タロットを学ぶことは、鈴木さんに「視える」ものを言語化し、現実的な解決法を提示する力を養うための絶好の機会になったようです。
その後、鈴木さんはラリマーという石に出合って「地球上にどうしてこんな奇麗なものができるんだろう」と深く興味を持ち、石の世界へも学びを広げていきました。
2009年、鈴木さんは仙台駅前に、ボディーケアと占いを提供するサロンを出店しました。
ところが出店と同時に突然、ボディケアができなくなってしまったのです。
それは施術をすると手が腫れてしまうようになったから。
そのことについて、鈴木さんは「これはもうやり方を変えなさいってことなんだなと思いました」と振り返ります。
そこから占いに集中したサロンスタイルとし、在籍する数人のセラピストがそれぞれ占いなどのセラピースキルを3部屋の完全個室で提供するというものでした。
鈴木さんはサロンにパワーストーンを置いて、お客様に選んでもらった石でブレスレットを作るというサービスを始めますが、
「お客様に選んでもらう」という方式は、実際には行われなかったとのこと。
鈴木さんにはお客様と選ばれる石のミスマッチがすぐに分かってしまったからです。
「お客さんが『これとこれかな』って選んでいる時に、石たちが嫌がっている声が聞こえてきて。『違うよ、そうじゃないよ』って。そこで私がお話をさせていただき、石を組み換えさせてもらったら、すごく収まりがよくなって、お客様にも喜ばれたんです。私も達成感がありましたね」(鈴木さん談)
こうしてお客様と石をリーディングして、ブレスレットを作るというスタイルが始まり、今までに2万本以上を手がけることになったのです。
仙台駅のサロンは、このスタイルが人気を呼び、翌2010年には税理士から法人化を勧められるまでに順調に成長したそうです。
それから7年ほどの間、鈴木さんは夢中でサロンを運営していきましたが、とても忙しい日々を過ごす中で体調を崩し、ついにはドクターストップがかかります。
そしてそれまでの場所から近隣のマンションの一室に移転することとなります。
それを機に鈴木さん自身は仙台のサロンに出勤するペースをかなり減らし、当時お子さんが暮らしていた東京へ拠点を移します。
それでも、東京で二子玉川や軽井沢に出店するなど、セラピストライフを歩み続けてきました。
そして、2020年の開業22年目に、コロナ禍を契機に地元大阪に拠点を移します。
現在は、大阪梅田のサロンでの対面セッションの他、ZOOMなどでのオンラインセッションも行っており、東京や仙台へも出張してサロンでのセッションを行っているそうです。
これまでのセラピストライフを振り返ってもらった感想を伺ったところ、「この世界って、本当に終わりがないですね」と笑顔で答えてくれました。
「ボディーだけでは終わらなくて、心の方に進んできたけど、知れば知るほど深みがあって、やっぱり終わりがないんですよね。これからは、私が経験したことをどんどん還元していきたいと考えています。今って生きづらいと思ってる人がすごく多いので、楽に生きれるコツというか。私自身が好きなお仕事で経済的に自立して生きてこられているので、若い人を応援したいなって思っています」(鈴木さん談)
聞けば、自分のスキルを多くの人に取り入れてもらいやすいような形に整えて、ツールや教材などを開発、準備中とのこと。
新しいステージについて、楽しそうに語ってくれた鈴木さんの笑顔が印象的でした。
「これまで辛いことも難しい問題もありましたが、今はすべてに感謝できている自分がいます。天気がいいだけでも涙が出るほどありがたいってほど、感謝の気持ちが満たされているんです。感謝で自分を満たして、それを周りに伝えられるような人をたくさん育てて、世界を感謝で満たしていきたいですね!」(鈴木さん談)
校長からのメッセージ
今回は、リフレクソロジーでセラピストライフをスタートさせて、ボディーケアを経てタロット、パワーストーンを使ったスピリチュアルなセラピーへとスタイルを変えていった、鈴木みえさんのお話を伺いました。
いわゆるスピリチュアルな感覚を伝えていただけたという点でも、とても興味深いインタビューとなりました。
私はスピリチュアルな感覚について詳しく述べる立場にないので、ここでは彼女のセラピストライフについての解説に止めることにします。
鈴木さんのセラピストライフを考えるに、「他の誰かでなく、あなたの施術を受けたい」とお客様に思っていただけるようなスタイルであり、また常に「物語性」を持ったサービスを提供してきたのではないかと思います。
一般にボディーケアとスピリチュアルでは客層が違うと考えられます。
しかし、鈴木さんの場合、彼女がタロットやパワーストーンによるサービスを提供し始めても、リフレやボディーのお客様に素直に受け入れられたというお話を記事の中でも紹介しました。
つまり、既存のお客様にとっては、「鈴木みえさんのセラピー」であればウェルカムな関係性を築けていたのだろうと思います。
もしかすると、ボディーケアを受けている段階で、お客様は鈴木さんに「分かってもらえている」「きっと何かが視えているし、心の声も聞こえている」と感じさせる雰囲気があったのかもしれません。
「物語性」という面では、鈴木さんは最初、自分も幼い子を育てる母である立場で、同じ立場のママを対象にしたセラピーを提供しています。
分かり合える立場同士で、なおかつ子連れでの来店もOKとしたことも、お客様にとって共感できる物語として受け止められたのではないでしょうか。
そして、現在のメインメニューの1つである「リーディングブレスレット」というサービスも、とても面白いスタイルです。
というのも、よほど石に詳しい人やデザイン的なセンスがない限り、テキストやガイドがあっても自分に適した石を選ぶのはすごく難しいし、「これでいい」と確信を持てる程の石選びができる人は少ないのではないでしょうか。
そこで、スタイリストが洋服を選んでくれるように、セラピストが石を選んでくれて、それがお客様の感性にぴったりとハマるなら、ブレスレットは「私を応援してくれる石のチーム」という物語を帯びることになります。
また、「パワーストーンを浄化するために旅をする」というスタイルも、とても魅力的な物語を石に与えています。パワーストーンたちは、エネルギーをチャージするために相応しい場所を鈴木さんに伝えてくるとのことなので、彼女は石とともに浄化の旅をするのだそうです。
「浄化というのは、エネルギーの状態を初期化する感じですね。リーディングで石たちが行きたい場所を聞き、そこに連れて行くんです。例えば、『沖縄に行きたい』という石があれば、そこに連れていく。それも私の役割なんです」(鈴木さん談)
鈴木さんは、ご自身のスキルと経験を若い人に伝えていきたいと、笑顔で語ってくれました。
記事を読んでいただいて分かるように、鈴木さんのセラピースキルは彼女自身の素質によるものが大きいので、それをそのまま伝えるのは、おそらく大変なことだと思います。
ただ、彼女自身がその難しさを明確に理解した上で教材やツールを作っているご様子でしたので、きっと魅力的で素敵な物語性のあるメソッドを世に出してくれるはずです。
その時には、またお話を聞きたいと思いながら、この日のインタビューを終えました。
La mar