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東孝子さんのセラピストライフ~サロンオーナーセラピスト

2022/11/24
東孝子さんのセラピストライフ~サロンオーナーセラピスト

 鹿児島県鹿児島市にて、14年にわたってオーナーセラピストとして「ビューティーコンシェルジュ ラシュレ」を営み、スクールも運営している東孝子さんのセラピストライフを紹介します。

【育成セラピスト】編はこちら


 東さんはサロンオーナーとしてスタッフを雇いながら、自らもセラピストとしてお客様に施術をしています。


 提供するメニューは、アロマリンパドレナージュ、フェイシャルトリートメントなどをメインに、お客様のご要望に合わせて肌のトラブルにアプローチする機械を併用しています。


「顔は心と内臓の鏡である」との考えから、体に溜まった老廃物をリンパとともに流すことで、疲れた体をリフレッシュさせ、肌にもツヤやハリを与えていくのだそうです。


 健康的な体になることで肌が美しくなり、リフトアップの効果も含めてお客様の表情が明るくなるといいます。


「お客様がこのサロンに何を求めていらっしゃるのか。それに答えることを常に考えています。お客様は1人ひとり職業も違えば、生活環境も違いますよね。だから、お肌のトラブルが似ていても、その要因は同じじゃないんですよ。そういうことにきちんと対応して、心身ともにリフレッシュして帰っていただくことを目指しています」(東さん談)


 セラピスト歴が10年以上にもなる東さん。


 最近は、リピーターさんの顔や体の特徴を手で覚えていて、肌荒れやむくみなど、以前からの変化を手でキャッチできることもあるといいます。


 また、その変化の要因についても察することができるとのことで、お客様との何気ない会話の中で、不調の要因を紐解き、施術に繋げていくのだそうです。


 聞けば、東さんのサロンのリピーターには、看護師などの医療従事者の方が多いとのこと。


 夜勤明けにサロンに来て、自律神経を緩めて、副交感神経優位にしてから自宅に帰ることをルーティーンにしているそうです。


 いわば「仕事モード」から「休眠モード」へ切り替えを、東さんのサロンで行っているようです。


 ただ、コロナ禍になってから、ピーク時は医療従事者は自宅(あるいは宿泊施設)と職場の往復しかできなくなり、サロンにもあまり来られなくなっていると東さんは言います。


 そうした事情で来店できなくなっているお客様に対して、東さんはSNSを通じてストレスの解消法やマスクケアなどの情報をお送りしていて、ときにお客様から「落ち着いたら、また行きますね」というお返事をいただけるそうです。


「少しでもお役に立てていると思うと、震えるほど嬉しいです」と東さんは笑顔で話してくれました。


 そんな東さんにセラピストになる以前のことを聞くと、「まったくお勤めの経験のない、専業主婦だったんですよ」と東さんはこれまでの歩みを笑顔で教えてくれました。


この人たちのために何かをしたい

 東さんはサロンをオープンした14年前まで、いわゆる専業主婦であり、子どもを育て上げることを自分の使命として家庭を支えていたそうです。


 ただ、子どもに手が掛からなくなり始めた頃、東さんはふとこんなことを考えます。


「子育てが終わった後、自分は何をして生きてるのかなと思った時に、その先が想像できなかったんです。それに、人生100年というけれど、実際に働けるのは65歳、70歳ぐらいじゃないですか。すると、50歳までに何かをしておかないといけないんじゃないかと。じゃあ、自分が出来ることは何かなと考えたんです」(東さん談)


「自分の仕事は何だろうか」と探している中、東さんは思いがけず大病を患い長期入院をすることになります。


 その時に、病院で忙しくも笑顔で働く医療従事者たちを見て、東さんは「この人たちのために何かをしたい」と考えたそうです。


 以前から、化粧品や美容に関心があり、また人と接することが好きだった東さんは、エステサロンを開いて、仕事に家事にと忙しくしている女性たちにリフレッシュとエネルギーチャージの場所を提供したいという、新しい目標を立てました。


 最初は、サロンオーナーとして数名のスタッフを雇うスタイルをイメージしていたそうですが、基礎知識を得ようと通ったスクールでセラピーを学ぶうちに、どんどん魅力に引き込まれていったといいます。


 そして、サロンを立ち上げることを発信する中で、スタッフとして協力してくれる方も見つかり、学習を含めて2年間の準備期間を経て、14年前に東さんは「ビューティーコンシェルジュ ラシュレ」をオープンさせ、自らもセラピストとして活動を始めたのです。


 こうして専業主婦からオーナーセラピストとして働き始めた東さん。


 始めは身に付けた技術を夢中で提供していたそうですが、オープンして2年目ほど経った頃、彼女はお客様の体に触れられなくなってしまいます。


「今思えば、テキストで学んだことだけでこなせるっていう安易な考えがあったんだと思います。でも、実際に現場に入ってみると、それはとんでもないと。知らないことが多すぎて、ただ技術をこなすだけじゃないって痛感する度に、自信が無くなっていって、“触れていいのか?”と手が震えるようになってしまったんです」(東さん談)


 自ら施術ができなくなった東さんは、もう1人スタッフを雇って、自分は施術以外のお客様対応に回りながら、もう一度学び直しの期間に入ります。


 セミナーや講習会など、見つけたものや誘われたものに、出来る限り顔を出して技術や理論を取り入れていき、東さんは徐々に自信を取り戻していったそうです。


 そうして再び現場に立てるようになっても試行錯誤の連続が続き、気が付けば14年の月日が経っていました。


「サロンをオープンして14年。だけど、まだ折り返し点かなっていう気はしてますね。今までお客様にいい経験をさせていただいたので、その積み重ねをお客様にお返しできたらいいなと思います」(東さん談)


校長からのメッセージ

 現在、東さんのサロンはリピートが6割ほどで、中にはサロン開業当初から14年間通い続けている方もいるとのことでした。


 東さんは専業主婦をしていた時期が長かったこともあり、30、40代の女性客にとっては先輩として子育てや料理のことなど、参考になることも多いようです。


 なお、新規のお客様はウェブ版のフリーペーパーであったり、SNS(FacebookやInstagram)、ホームページを見て来店してくださるそうです。


 さて、今回のインタビューで興味深かったのは、東さんがサロンをオープンして2年目くらいに、「自信が無くなって、手が震えるようになってしまった」というお話しです。


 普通に考えれば現場の経験値が増えるほど自信が付きそうなものなのに、東さんは2年の現場経験を経て、逆に自信を失ってしまったのです。


 もしかすると、スポーツ選手が陥るスランプやイップスのようなものだったのかもしれませんが、まさに精神状態が体に表れることを、東さんは身をもって体験したのです。


 自信がないのは初心者の頃だけと思われがちですが、東さんのように現場経験を積むほど「自分がいかに知らないか」に気付いてしまい、人知れず足を止めてしまったセラピストの存在は、実は少なくありません。


 そうしたセラピストがどうすれば、再び歩み出すことができるのか。


 その処方ははっきりと分かりませんが、東さんのストーリーは1つのヒントになるのように思いました。


 つまり、歩けなくなった直後は、無理して歩こうとしないこと。


 再び歩けると思えるまで、じっくりと回復を待つこと。


 そして、自分がどうやって歩いてきたのかを、改めて知る努力をすること。


 きっと、それだけではないだろうと思いますが、心の回復とリハビリが必要な時が、どんな人にも訪れるのかもしれません。


 東さんを含め、こうした状況を乗り越えた経験を持っているベテランセラピストは、おそらくたくさんいるのではないでしょうか。


 そうした体験をシェアすることは、きっと若いセラピストの大きな助けになるはずです。


 一時的な挫折が、失敗の入り口ではなく、さらに成長するためのきっかけとして素敵なセラピストライフの一部になった。


 そんな風に笑顔で語れるセラピストが、これからも増えていって欲しいと思いました。


ビューティーコンシェルジュ ラシュレ

http://www.rassurer.net/