関西地域を中心に18年にわたって活動している「有限会社リウム」の穗口大悟さんを紹介します。
私は、登山家をエベレストの頂上まで行けるようにサポートする人々になぞらえて、セラピストをサポートをするプロをシェルパと呼んでいます。
穗口さんはセラピストが活動するために必要な様々なインターネットツールを提供しているシェルパです。
穗口さんが代表を務める「有限会社リウム」が提供しているのは、セラピストを含めたスモールサービス向けに、集客からファン作りまでを行える「リウムスマイル!」というシステム。
これは、ホームページ、ブログ、予約管理、顧客カルテ、メールマガジンなど、セラピストが活動するために必要なツール一式が揃うというものです。
現在は、300人以上のセラピストがこの「リウムスマイル!」を活用し、リウムのサポートを受けているそうです。
穗口さんが提供するシステムのユニークな点は、「ユーザー自身がホームページを作り、事業とともに育てていく」ためのノウハウとサポートにあります。
なんと、ホームページを作る前の「下ごしらえ」として、「誰に対して、どういう強みを持って、どういうメニューを作るのか」という、経営の基礎にあたる部分からサポートできる体勢を整えているのです。
また、穗口さんが考える理想のホームページの形を「お手本」に、「下ごしらえ」した要素を加えていくスタイルなので、初心者であっても必要な要素を満たしながら、ユーザーごとに個性的なページが作れるのだそうです。
穗口さんは「ホームページは育てていくもの」と説明していて、セミナーや相談会を定期的におこなって、事業とホームページを成長させていくノウハウも、あわせて提供しているといいます。
つまり、穗口さんにとって、ITのシステムを提供することは、ユーザーの仕事の仕組みから整えて、実際の働き方とシステムを連携させることまでも含んでいるのです。
「僕はホームページは育てていくものだと考えていて、これを“ホム育”と呼んでいます。そのために、ホームページをただ作ればいいのではなくて、まずご商売の形を整える”下ごしらえ”に注力してくださいとお伝えしています。ホームページは僕が理想と考えるお手本をご用意しますが、ちゃんとした下拵えをすれば、オリジナリティが出るような、そういうカリキュラムを組んでいます。もちろん、作ってからも学び続けて、継続的に改善していくための伴走をずっとおこなっていきますんで、独りぼっちにはさせませんよ」(穗口さん談)
最近は、複雑なプログラミングが分からずとも、自分でホームページを作成できるサービスはいくつもあります。
ですが、手探りで努力しても、デザイン的に満足できなかったり、コンテンツに不足があったりと、行き詰まってしまう方もいるだろうと思います。
逆に完全に業者に丸投げしてしまうと、どこか他と似たり寄ったりのページになってしまったり、自分では運用できなくなってしまう、なんてこともあるようです。
そういう意味では、穗口さんが提案するような方法であれば、セラピストは個性を反映させながらも、見る人に伝わりやすい形に整えることができ、かつ自主的に自分の事業とホームページを運用する力も身に付けていけそうです。
なぜ、穗口さんがセラピストを含めた「スモールサービス」に特化した事業を始めたのか。その経緯と、そこに込められた思いを伺いました。
セラピストって、むちゃくちゃいい生き方
穗口さんは代々、何かしらの事業を営んでいる家系に育ち、「ゆくゆくは自分も商売をするんだろう」と、自然に思っていたそうです。
そんな穗口さんが商売のタネとして目を付けたのが、ITつまり情報技術の分野でした。
プログラミング次第で人の労力を大幅に割けるという、いわば魔法のような仕組みに大きな可能性をみたのです。
では、どんな方を対象にするのか? それを考えた時に穗口さんが思い浮かべたのが、中小企業で働く人たちのことでした。
穗口さんは会社員時代に様々な人と会う中で、中小企業の経営者さんたちの個性や仕事に対する姿勢に魅力を感じていて、さらにそこにITの力が届いていないことに気付いていたのです。
「セラピストもそうですが、どんな社長さんでもその仕事が飯を食うより好きって人がいて、そういう方との仕事は僕も気持ちいい訳ですよね。それで、僕が事業を始めた17、8年前は、小さなお店やサービスの現場にはITが届いていなかったので、そこにテコ入れするようなサービスを考えると、僕も楽しいし、お客様にも喜ばれるんじゃないかっていうのが、切り口です」(穗口さん談)
こうして中小企業や個人事業向けのサービスを開始した穗口さん。当初は、飲食業のお客様が多かったといいます。
ただ、当時はセラピー業界が活発になり始めた時期ということもあって、セラピストやエステサロンからの問い合わせも、徐々に増えていくことに。
その頃、まだセラピー業界に疎かった穗口さんは、セラピー業界に詳しいコンサルタントに声を掛けて「どんなビジネスなのか」を聞いたり、セラピストと交流したりしたそうです。
その中で穗口さんは、「セラピストって、むちゃくちゃいい生き方や」と、大きな魅力を感じたといいます。
「飲食では、料理もしくは空間という形にせねばならないけど、セラピーで人の手や技術を通じてお客様に価値提供するっていうのは形がないので自由度もあるし、より強く個が出るんですよね。個性がサービスの半分以上を占めてるんじゃないかって思うくらい。物ではなくて、人間性が直接買われているかのような“なまもの感”にすごく惹かれました。個性をめちゃくちゃ活かしたサービスが売れるってことは、その人が全肯定されていることだと思うんですよ。お金出してまでも、あなたの個性を認めますっていう意味なので」(穗口さん談)
穗口さんは、セラピストたちの個性に魅力とともに可能性を感じていて、スモールサービスをサポートする立場として大切にしていることを訊いた時も、「個性を否定せずに、引き出せるように心掛けることですね」と笑顔で答えてくれました。
「個を爆発させろって言ってる人間が個を尊重してない、では成り立たないのでそこは大事ですかね。これはスモールサービスの強みでもあるんですけど、むちゃくちゃマニアックなことをやっても、何百人かに好かれればビジネス的に成り立つんですよね。だから、世の中で1000人のファンに好かれるぐらいのマニアック度合いで十分なんだから、よっぽど変なことじゃない限り否定しなくていいんです、僕たちは。だから尊重するっていうのは大事にしてます」(穗口さん談)
セラピストが集客に悩む場合には、経営スキルが足りていないという理由の他に、穗口さんがいうように「個性がサービスの半分以上を占めている」という本質的な問題が関係していると思います。
個性なのだから、当然、人によって合う合わないがサービスの満足度に如実に反映されるからです。
すると、「提供したい側」と「サービスを受けたい側」の組み合わせがとても重要な要素になるわけです。
つまり、セラピストの場合、「不特定多数の人を、できるだけたくさん呼ぶ」という集客よりも、「趣向の近い方と確実に繋がれる」という集客の方が、リピーター(ファン)をつくるという意味でも効果的な場合があるのです。
穗口さんは、それを「マッチング」と表現していましたが、それこそITが得意とする分野だと言えます。
ITによって、個性を活かした多様なサービスが、それを求めている人にちゃんと届くこと。
それが、1人ひとりの多様性を認め合って、それぞれが生きやすい社会に繋がっていく。
穗口さんは「画一的なサービスばかりではない、ごった煮みたいな世界がいい。これからも、そういう世界を作るのに寄与していきたいですね」と笑顔で語ってくれました。
校長からのメッセージ
現在、「有限会社リウム」が提供するシステム「リウムスマイル!」には、ユーザーの要望に合わせて三段階のプランが用意されています。
無料のオンライン相談や、無料お試し期間も用意されているので、自分に合っているかどうかを知るために、興味があれば一度触れてみるのもよいかもしれません。
さて、今回はITとスモールサービスについて、穗口さんから伺うことができたのですが、最近の消費者マインドや経営者マインドの傾向についても話題になりました。
最近は、ネットで買い物をしたり、購入前に検索して下調べすることが当たり前になりました。
すると、インターネットを閲覧中に、一度買った商品や読んだ記事に関連する商品が自然と表示されるようになります。
これもITによるシステムの一部で、購入してくれそうなユーザーにできるだけアプローチして、購入に結びつけたいという意図が含まれています。
物やサービスを売る側の心理として当然の成り行きかもしれませんが、消費者側もそれに慣れすぎてしまって、物を選んだり、吟味する力が衰えてしまうのではないかと懸念する声もあり、穂口さんも「思考停止状態になってきている気がする」といいます。
まだ、穗口さんは、そうした消費者マインドが経営者側までも「思考停止状態」にしていないかと懸念しています。
これもITの発展によるものですが、最近は、商売への参入障壁が低くなってきていて、ネット上でお店を開いたり、マーケットに商品を出品できるようになりました。
当然、消費者マインドのまま商売人になる人も増えているのでしょう。
すると、どうすれば物やサービスが売れるかという「答え」までもネット上にあると勘違いしてたり、成功するための「手順」がどこかに存在すると思い込んだりする人も増えていくのではないか、という訳です。
「物やサービスを売る側としては、プロとして自分の立場を確立して、ライバルと差別化して、発信してお客様に伝える努力を怠らない、というのが大事だと思うんだけど、そういうのを考えたくないみたいな感じに、徐々になってきている気がします。“何も考えんと売れたい”、“何をすればいいか教えてください”、“答えが何かないのか”みたいなね。その答えを探すこと自体が商売なんですが、その考え方がだんだん薄れているのかなと」(穗口さん談)
ITはとても便利なツールではあるけれど、それに慣らされて思考停止になってはいけない。
ITを扱う商売人として、穗口さんはそれを憂慮していて、サービスを提供するお客様に商売の心構えについて、それとなく話すこともあるのだそう。いわば、啓蒙活動もしているようです。
最近は副業が認められ始めて、ダブルワークもよく耳にするようになりました。
消費者から売る側への参入障壁は、今後ますます低くなっていくだろうと思います。
そうなった時に、「売る個人」と「買う個人」とをマッチングするシステムは、今までよりもさらに必要性が増すはずです。そこにはやはり、ITの力が不可欠でしょう。
すると、正しく ITを利用し、それを通じて人と交流するには、当然リテラシーも心構えも大切な要素になるはずです。
そんな時に、穗口さんのような、メンターとしての立場で指南する役割の人は、とても重要な存在になるのかもしれません。
リウムスマイル! https://riumsmile.jp
穗口のホム育オンライン https://riumsmile.jp/contentsol_5171.html