東京原宿にて18年にわたって個人サロン「アトリエサロン・ハーモニーウィズアース®」を経営し、トリートメントとセッションを提供する一方で、講座やスクールも開催している毛利奈緒子さんのセラピストライフを紹介します。
【個人サロンセラピスト編】はこちら
毛利さんは、セルフヒーリングやトリートメント、オーガニックコスメなどをテーマにしたスクールや講座を主宰しています。
主なものを紹介すると、
これらの講座に共通しているのは、「自分を愛するための技」を伝えているということです。
自分を愛することは、すなわち自分を癒やすことであり、その手段としてスキンケアのテクニックやコスメ作りなどがあります。
また、プロとしてお客様にセラピーを提供するためにも、その大前提としてセラピスト自身が自分を大切にして、自分の軸を持っていることが重要です。
だから、「自分を愛するための技」を身に付けることがプロになる過程で求められるわけです。
自分で自分を喜ばせることこそが、自己承認欲求を自分で満たすことであり、癒やしのプロセスに大切だと、毛利さんは考えているそうです。
「誰かのためにと我慢するのは、“他者軸”で生きているということです。今は、“他者軸”で生きてる人が多いのかもしれません。自分で自分を幸せにする生き方を選択できるように、他人の評価基準に合わせて生きるのではなくて、“自分軸”を作ることが大事かなと思っています。そのためには、まず自分を自分で可愛がる技を持っていた方がいいと思うんですよね」(毛利さん談)
「自分を自分で可愛がる技」、その一つとして、毛利さんはスキンケアを提案しています。
自分の肌を自ら触れることは「手当て療法」に通じていて、さらにはその際に使うコスメも、自分を可愛がるための大切なエネルギーアイテムにできるのだそうです。
多くの女性が、朝晩にスキンケアをすることを習慣にしていますが、日々の忙しさのあまり、つい作業的になりがちだと聞いたことがあります。
難しい技術を使わずとも、肌に触れる際の気の持ちようだったり、自分の為に作った特別なコスメを使ったりするだけでも、作業的な行為が自分を愛でる行為になると、彼女は話してくれます。
「確かにレシピ通りに作れば、同じコスメができるかもしれません。ですが、本来の植物療法はそんなものじゃないはず、という思いがありました。大切な人や自分のために、願いや想いが籠もったものを作る。それは、ホワイトマジックやウィッチクラフトに通じるスピリチュアルな要素だと考えています。それを意識して使うのと、ただ作業的に使うのとではやはり違うんじゃないかなと思います」(毛利さん談)
自分を愛するための技を伝える
毛利さんが現在のようなスタイルで活動するきっかけは、自身のアトピーを改善するためにオーガニックコスメを探し、自作までしたことでした。( 【個人サロンセラピスト編】参照)
当時は、オーガニックコスメが今ほど注目されておらず、しかも無添加化粧品、自然派コスメ、ナチュラルコスメなど、いろんな呼び方があり、成分も基準が定まっていない時代でした。
毛利さんは良さそうなものを買っては試し、自分のブログにレビューを書いていったといいます。
次第に製品に使われている成分に詳しくなっていき、市販の化粧品の成分を見れば、どういう作り方をされているかも分かるようになったそうです。
そのうちに、製品を真似してコスメを手作りするようにもなり、それもブログに載せていったとのこと。
そのブログは今は見ることはできないそうですが、当時はとても人気があったとのことで、今で言うインフルエンサーというべき活動をしていたようです。
こうして、彼女いわく「成分マニアだった」というほど、オーガニックコスメに詳しくなった毛利さん。
彼女がコスメ作りを初めて教えた相手は、友人だったそうです。
毛利さんの肌が綺麗になっていくのに気付いた友人から理由を聞かれたことがきっかけになり、コスメ作りを教えるようになったとのことです。
その後、当時付き合いのあった雑誌のライターさんから依頼され、オーガニックコスメのスクールを始めたそうです。
現在、コスメを講座などの際に、毛利さんが生徒に必ず聞くことがあるといいます。
それは、「何のためにお化粧をするんですか」「美しさってなんだと思いますか」ということ。
つまり、綺麗になりたいという、ごく自然な欲求に対して、一度立ち止まって考えてもらうわけです。
「歳を重ねても“いい顔ね”と言われる顔を想像した時、私は笑いジワいっぱいの素敵なおばあちゃんを思い浮かべます。それは心が顔に表れているような、本当に自分らしい顔です。ただ、シミやシワが消えればいいというなら、わざわざコスメを手作りするよりも手っ取り早い方法があるはずです。だけど、自分を大切にするためなら、思いを込めて作ったコスメを使って、丁寧にスキンケアすることの方が、心まで整えられるんじゃないかと思います。その心がきっと顔にも表れるんです」(毛利さん談)
コスメは他の誰のためでもなく、それをつける本人のためのものです。
つまり、それをどういう基準で選び、どんな気持ちで使うかは、そのまま、自分への向き合い方にも通じるということなのでしょう。
雑誌やWEBサイトで、誰かが勧めているものを選ぶというのは、判断基準を他人に委ねた“他者軸“の選び方なのかもしれません。
実際に、どのようにコスメを作っているのかを聞くと、毛利さんはこんな話をしてくれました。
「例えば、“自分らしいクリーム”を作るなら、“私は自分らしく生きたい”と宣言をして、エッセンシャルオイルなどの素材を選びます。そして、出来上がったものに“自分らしく生きる”と名付けて、書いておくんです。それがアファメーション、つまり肯定的な自己暗示になるので、それを使う度に必ずそれを見ることになります。すると、自分のために作ったコスメを見て、使う度に自分にエネルギーをわけてくれるアイテムになるんです」(毛利さん談)
普段コスメとはほど遠い私のような人間にも分かりやすい言葉で説明してくれたわけですが、これがスピリチュアルな要素と彼女がいう由縁なのでしょう。
ただ、どこか認知行動療法のような、脳科学的なアプローチにも通じているように思えて、とても興味深い話だと思います。
こうしたコスメ作りも含めて、毛利さんは「自分を愛するための技」を生徒に伝えているわけですが、いずれも彼女がサロンで提供しているヒーリングホウルエナジーセラピーとも、方向性は同じだといいます。
つまり、毛利さんの手助けを求めてサロンに来たお客様が、ゆくゆくはセラピストに頼らずとも自分で自分を愛する力を身に付け、自立して行くという流れがあるようなのです。
もちろん、手作りコスメをきっかけに毛利さんにアクセスした場合でも、彼女の人となりや考え方に触れて、サロンに通い始めるというパターンもあるのでしょう。
「自分を愛せるようになった時、自分の行動に自覚的になり、考えも整理されて、自分の意見も伝えやすくなるはず。すると、コミュニケーションが円滑になって、人間関係に悩む事がなくなるんです。人間のほとんどの悩みは、人間関係の問題から来ているといわれますが、それがなくなるだけで、疲れにくくなるし、心も軽くなるし、肌荒れも良くなっていくはずです」(毛利さん談)
毛利さんは、個人の人間関係が円滑になった先に、価値観の違いを認め合える世の中があり、延いてはそれが世界平和に繋がっている、と考えているそうです。
これも、地球規模で俯瞰して物事を考える、毛利さんらしいセラピー観だと思いました。
最後に、人を育てる立場で大切にしていることを訊くと、彼女は笑顔でこう答えてくれました。
「誠実であることですね。自分に誠実であることと、相手にも誠実であることは、同じことだと思います。自分に対しても、人に対しても誠実であることが、いつも笑顔でいられる自分でいることに繋がっているから。だから、自分の考えが変わったとしても、恐れずにそれを正直に伝えるようにしています」(毛利さん談)
もしかすると、嫌われることを恐れていたかつての毛利さんならば、自分の気持ちを誰かに正直に伝えることは難しかったのかもしれません。
しかし、毛利さんが自分の殻を破るように行ってきた意識変革によって、かつての彼女は私からは見る影もありません。
これからもきっと、毛利さんの生き方や考え方に共鳴して、彼女の元で学ぶ生徒は増えていくのでしょう。
今後、彼女のような素敵なセラピストをたくさん世の中に送り出してくれることを期待しつつ、楽しいインタビューを終えました。
校長からのメッセージ
この記事では、毛利奈緒子さんの育成セラピストとしての一面にフォーカスしてご紹介しました。
毛利さんの元に訪れる生徒さんには、もともとはサロンのお客様だった方も多いそうですが、ホームページやブログ、SNS、書籍などを通して彼女の存在を知り、アクセスしてくる方も少なくないとのことでした。
彼女の活動を振り返ってみますと、実に様々な側面があり、そのぶんお客様や生徒の入り口も多様です。
不調改善から入ることもできれば、コスメから入ることもできるし、スピリチュアルから入ることもできる。もっと言えば、人間関係や恋愛、婚活までも入り口にできるわけです。
こうした、とても面白いポジショニングを取りつつも、すべてがコンセプトが一貫されているのも、毛利さんの編集者的なセンスのなせる業なのかもしれません。
さて、今回のインタビューを通して、普段メイクとは程遠い私としては、その行為がセラピーになるということの、新たな意味に気付かせてもらえたように思います。
一般に、メイクというと自分を飾るスキルというイメージがあり、「見た目を良くすることで自信をつけることができる」という言い方で、私もある程度の納得感を得ていました。
ですが、毛利さんのいう「自分軸」「他者軸」で考えてみると、人からの見た目を気にして行うメイクは「他者軸」ということになり、いわば、偽りの自分の姿で他人に認められようとしているとも言えなくありません。
そもそも社会的な美しさの定義に合わせて、自分の顔を変化させようという考えに無理があるのかもしれません。
これに対して、彼女が私につたえてくれたセラピーメイクの概念は、自分の心と体が備えている力を引き出すためのアプローチの1つなのかもしれません。
メイクによって偽りの自分になるのではなく、無意識のうちに偽ってしまっている自分から、本当の自分の姿に戻ろうとする行為なのではないでしょうか。
それはまさしく、高校生の頃の彼女が車窓に映る自分の顔を見て「自分の本当の顔に戻らないと」と思ったことと重なるように思えます。
自分の顔や身体を慈しむことを通して、本当の自分でいることを自分で認める。
その為の手段として様々なセラピーがあり、それと同じ文脈でならメイクもまたセラピーになる得る、ということなのではないでしょうか。
人によっては、「単に気の持ちよう」と思われるかもしれません。ですが、気の持ちようによってベクトルが正反対になってしまうというのは、とても不思議な気がします。
もしかすると、その不思議さが、神秘さやスピリチュアルな感覚の入り口になり得るのかもしれません。
人の本来の美しさとは? 幸せの追求と美しさの追究の関係とは? 人はどうやって自分の内側に美しさを見出すのか? そして、そこにセラピーはどんな風に関われるだろうか……。
そんな考えを巡らせながらインタビューを終えました。
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『簡単!安心!手作り「ナチュラルコスメ」の教科書』(講談社)
『自分らしく輝くナチュラルコスメのつくり方』(雷鳥社)
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