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小宮桂月さんのセラピストライフ~個人サロンセラピスト

2022/08/08
小宮桂月さんのセラピストライフ~個人サロンセラピスト

 愛知県尾張地方にて、21年にわたって個人サロン「La’e la’e(ラエラエ)」を経営し、ロミロミの伝承もしている、小宮桂月さんのセラピストライフを紹介します。

【育成セラピスト編】はこちら


 小宮さんのサロンは一宮の閑静な住宅街の一軒家を使った、いわば「隠れ家サロン」。


 サロン名の「La’e la’e(ラエラエ)」は、「明るく心地よい」という意味のハワイの言葉です。


 小宮さんはここでハワイ伝統療法ロミロミをメインに提供しています。


 全身のオイルトリートメントやホットストーンなどの伝統スタイルのロミロミに加え、フェイシャルエステ、ヘッドリラクゼーション、リフレクソロジーなども行っており、またKYT(Ken Yamamoto Technic。解剖学や運動学などに基づいた骨格調整法)も取り入れているそうです。


 現在、月に20〜25日営業して、1日2、3人のお客様を迎えしています。


 サロンは女性専用としていて、お客様の9割ほどがリピーター。

 月に1、2回の心身のメンテナンスとして通ってきていて、中には開業当時から通い続けてくださるお客様もいるとのことです。


 小宮さんは「ご自分の体を守るのはご自身ですよ」とお客様に伝えながら、それでも日々の生活の中で少しずつ溜まっていく体と心の疲労をリセットする場でありたいと、考えているそうです。


「ご予約のメールに”聞いてもらいたいことが、いっぱい溜まってる”って書かれる方もいて、他では言えないことをお話に来るのかなとも思ってます。不調の中にはお体に触れるだけでは解決しないケースもあって、そんな時はきっと体だけの問題じゃないんだろうなって思います。何となく、お話の時間も心のケアになっていて、それも私に求められていることなんだろうと思います」(小宮さん談)


 小宮さんは21年のセラピストライフの中で、体の表面に触れるだけでは、必ずしもお客様の期待に応えられるわけではないことを学んできたそうです。


 お客様に心身ともに健康でいてもらうには、心の深い部分に溜め込んだものを出してもらうことも重要であり、そのためには、まず信頼していただかなければならない。


 セラピスト自身が人としてどう生きてきたのかを問われるし、包み隠さずに接することが大切であることを、経験の中で学んできたと言います。


「セラピストが壁を外さないと、お客様も壁を外してくれない。まずセラピストが心の内側をオープンにしないと、お客様も心を開いてはくれないんです」と、彼女は笑顔で語ってくれました。


 小宮さんに、これまでの歩みを伺うと、セラピストライフへ続く入り口は、実は色への興味だったことを教えてくれました。

そこには必ず愛がある。アロハという言葉が体現されている

 小宮さんは学生時代に放送部や演劇部に所属し、タレント養成所でダンスや演技を学んだそうです。


 30代の頃はブライダル関係の司会やマナー研修の講師も経験したとのことでした。


 そんな彼女が新しく学び始めたのが、色について。幼い頃に絵を描くのが好きだったことを思い出したからでした。


 小宮さんは、お子さんの習い事の場所の近くに、色について学べる教室があることを知り、そこに通い始めたのです。


 その教室で、小宮さんはパーソナルカラー診断などを学んだとのことで、イベントでお客様に似合う色についてアドバイスをすることもあったそうです。


 そうしたお客様との交流の中で、色を日常に取り入れるサービスにニーズがあることを、彼女は知ります。


「パーソナルカラー診断の、その先を求めているお客様がいる」


 その事に気がついた小宮さんは、メイクや着物の着付け、さらにネイルの勉強もして、実際にネイルサロンをオープンさせました。


 当時は、都心部以外ではネイルサロンがまだ珍しかった時代。郊外にあった小宮さんのサロンにはネイルカラーのお客様は少なかったとのこと。


 ただ、サービスの一環として行っていたハンドマッサージやフットマッサージがとても喜ばれたそうです。


 そこで、小宮さんはマッサージのスキルを高めようと、どんなマッサージがあるのか、情報を探し始めました。その中で出合ったのがロミロミだったのです。


「いろいろ調べている中で、たまたまハワイのロミロミスクールの1期生募集の記事を見たんです。無料説明会が間近だったので、取り敢えず話を聞いてみようと参加したら、とても魅力的で。ただ、子どもを置いて2週間もハワイで勉強するのは、現実的に無理だと諦めようとしました。でも、どうしても忘れられなくて、悩んで悩んで、両親に相談したら、あっけなく”行ってこれば”と。それで、子どもを両親に預かってもらい、ハワイに行きました」(小宮さん談)


 小宮さんがロミロミを学ぶために留学したのが、2001年のこと。聞けば、その時が初めての海外で、しかも現地のホテルで初めてロミロミを体験したといいます。


 初めて受けたロミロミに感動しつつ、「私がこれから学ぶのは、これなんだ。私もできるようになりたいと思った」と語ってくれました。


 そのスクールの参加者は、小宮さん以外は何かしらのボディワークを身に付けた参加者ばかり。その中で、彼女は必死で勉強についていったそうです。


 ハワイでの学習を終え、帰国した後、小宮さんがすぐにロミロミを提供し始めたのかと言えば、実はそうではありませんでした。


「今の自分の技術では足りない」と考えた小宮さんは、さらに学びを深められる場所を探し、国内ですでに活動しているロミロミセラピストと知り合います。


 そして、その方が日本に招聘していたハワイのクム(先生)に師事。

 徐々に自信をつけていき、2001年5月に国府宮駅前の小さなワンルームでオープンしたネイルサロンから、マッサージべッドが置ける少し広めの国府宮神社横のマンションに移動し、店名もハワイアンネームに変更、サロン「La’e la’e」として再オープンさせます。


 その後、サロンを一宮に移転させ、今に至ります。


 小宮さんはサロンオープン以降も、何度もハワイに行き、これまで3人のクムたちから指導を受けて、ロミロミを深く学んでいきました。


 小宮さんがロミロミに惹かれる理由について聞くと、ロミロミの技術はハワイの伝統文化や思想と切り離せないことに加えて、クムたちの人としての魅力について教えてくれました。


「ロミロミは伝統的なものなので、深く深く掘り下げていく学びです。長い年月で積み重ねられた先人の知恵で、何度ハワイに行っても学びきれるものではないんです。それに、クムたちはそれぞれユニークで個性溢れる方々ですが、人に対して壁を作らないし、自分が持っているものを全部出してくれて、そこには必ず愛があります。アロハという言葉を体現されてるんです。私も、クムたちのようになりたいと思っています」(小宮さん談)


 小宮さんが「体の表面に触れるだけでは、お客様の期待に応えられない」と気付いたのも、クムたちとの交流があったからなのだそう。


 お互いに心から信頼し合うことができ、壁を作らず、気兼ねなく心を開ける関係性であれば、セラピストとお客様の双方の心が癒やされるし、自然に体の緊張も解れる。


 その状態でこそ、セラピーの力をより引き出すことができる、ということなのでしょう。


 私が今後のセラピストライフについて聞くと、「このままずっと、命尽きるまで。ただただ、マイペースで続けさせていただけたら、ありがたいですね」と笑顔で答えてくれました。


 これからも、「明るく心地良い場所」と名付けられたサロンで、彼女は笑顔でお客様をお迎えするのでしょう。


 その笑顔こそがロミロミの伝統であり、彼女のロミロミにテクニック以上の力を与えているのかもしれません。

校長からのメッセージ

 今回は、セラピスト歴21年の小宮さんにお話を伺いました。


 これまでの21年を振り返って、「天職に出合えたことに感謝しかない」と彼女は言います。


 天職というと、どこか「出合うべくして出合った」ような印象があるかもしれませんが、それが天職であると気づけるかどうかは、本人の経験値によるものもあるだろうと思います。


 小宮さんも、ロミロミに出合うまでに、様々な学びと経験を積んできたことを、インタビューの中で聞くことができました。


 そうした経験があったからこそ、「ロミロミを深く学びたい」という気持ちに素直に従えたのかもしれません。


 私が「数ある学びの中で、なぜロミロミを選んだのでしょう?」と訊くと、小宮さんはこんな風に答えてくれました。


「最初はたぶん野生の勘みたいな直感だったかもしれません。でも、今、それを整理して考えてみると、私は表面的に関わるよりも、深い所で人と関わることがしたかったんだろうな、と思います」(小宮さん談)


 もちろん、深く関わるといっても、それが馴れ合いとは違うようです。


 小宮さんにセラピストとして大切にしているポリシーを聞くと、「ちゃんとお客様としてお迎えして、お客様としてお見送りすることですかね」と答えてくれました。


 付き合いが長くなれば、自然と心の距離も近くなります。


 しかし、言葉遣いから立ち居振る舞い、案内の仕方、シーツ1枚に至るまで、全てにおいてお客様としてお迎えし、おもてなしをし、お見送りする。その距離感を守ることを、セラピストとして肝に銘じているそうです。


「お客様は別のサロンとの技術の差を、はっきりとは分からないと思うんですよね。だから、サロンの印象は、そこで過ごした時間が心地良かったかどうかが大きい思います。お客様からいただくのは、施術時間に対する対価ではなくて、サロンに関わる全てにおいての対価であると考えています」(小宮さん談)


 こうした、お客様とセラピストの心の距離感についてのお話を聞く度に、私はセラピストという仕事はつくづく特殊なのだと思うのです。


  • 家族でも、友達でもないけれど、心と体の悩みに親身になれる。
  • アドバイスはするけれど、先生と生徒のような上下関係ではない。
  • 互いの自己開示がセラピーの効果を高めることにもなる。
  • それでも、お客様とセラピストという関係性は崩さない。


 小宮さんはお客様とセラピストの関係性を「中途半端な関係性」と表現してくれましたが、中途半端な状態を維持するのは意外と難しいものです。


 自覚的に距離感を保たなければ、崩れかねないはずです。もちろん、できるだけ緊張感を見せずに、自然体のままにその距離感で立っていることも重要でしょう。


 おそらく、こうした距離感について、あやふやだったり、迷っていたりするセラピストは少なくないだろうと思います。

 小宮さんのような立ち方は、とても参考になるのではないでしょうか。


「直接口に出して言われることではありませんが、私はお客様から”あなたは何がしたいの”って問われている気がします。セラピストの軸というのかな。それがないと、お客様もここで、どういう風に過ごしたらいいのか分からないですよね。私が何を提供できて、お客様が何も求めて通ってくださっているのか。それを私が自覚しなくてはいけないと考えています」(小宮さん談)


 お客様との距離感や、セラピストとしての軸を持つこと。

 そして、それを自覚的に維持し続けること。


 そうした意識の持ちようが、長くセラピストライフを歩き続けるための、重要なポイントなのかもしれない。そんなことを考えさせられたインタビューでした。


http://laelae-lomi.la.coocan.jp/