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稲葉あいさんのセラピストライフ〜自宅サロンセラピスト

2022/02/01
稲葉あいさんのセラピストライフ〜自宅サロンセラピスト

 緑豊かで海にもほど近い街に、稲葉さんのサロン「nokoneko(ノコネコ)」はあります。

 稲葉さんは、自宅の一室をサロンスペースとして、女性のお客様をお迎えしています。

 

 提供されるのは、よもぎ蒸しとリフレクソロジー、リンパトリートメントを組み合わせた温活メニュー。

 

 よもぎ蒸しで体を温めることに加えて、足裏の反射区から全身を刺激をする「下半身からのケア」は、たとえば婦人科系の不調改善につながるとのことで、お客様の多くは自身の体調の周期に合わせてサロンを利用されるそうです。

 

 その他にも、腸もみセラピーやフェイシャルトリートメントなども提供しており、常連のお客様は会話を楽しみながら、稲葉さんのオーダーメイドのトリートメントに身を任せています。

 

 「nokoneko」は、週に5、6日営業し、お迎えするお客様は1日2人までとしているとのことです。

 

 お客様は、体調維持を目的とした40代後半から60代の女性が多く、また看護師や介護士、教師、保育士など、人と接する職業の方が多いと稲葉さんは話してくれました。

 

 お客様の職種に特徴があることが気になり、彼女に聞くと、

「ご利用いただいたお客様が同じ職場の方に紹介してくれたからだと思います」と笑顔で答えたくれた後、

 

「と言いましても、サロンではお客様はご自分のお仕事の話はあまりしませんね。おしゃべりするのは、子育てや飼い猫のことなど、趣味や日常のことについてです。施術時間を楽しく、心身共に楽にごしていただいて、みなさんスッキリしたお顔でお帰りになります」(稲葉さん談)



旦那さんからでた、リフレクソロジストは?という言葉

 「nokoneko」を女性向けのケアをメインにしたサロンとしているのは、稲葉さん自身も、若い頃から婦人科系の不調に悩まされてきたからなのだそう。

 

 社会人になっても不調は常にあり、その解決のために病院に通いながら、様々な方法を試してきたといいます。

 

 セラピストの道へと進む転機は、子どもを授かり、仕事から離れていた時期に訪れました。

 

 会社勤めに疲れ果てていたという彼女は、自宅でできる仕事について、旦那さんとじっくりと話し合ったそうです。

 

 その際に旦那さんから出た「リフレクソロジストは?」という言葉に、彼女もはっとします。

 

 というのも。稲葉さんと旦那さんはずっとリフレクソロジーサロンに通っていて、共にその効果を実感していたから。

 

 リフレクソロジストになることを心に決めた稲葉さんは、スクールに通い始めます。

 この頃、お子さんは生後半年くらいだったそうですが、旦那さんと協力することで学びを進められたと、彼女は振り返ってくれました。

 

「受けることが好きだったリフレクソロジーですが、人にするのも面白いなと思って。だんだん、足や指の形からその人の性格が分かるようになってきて、その話題でお客様と盛り上がることもあるんですよ。サロンでは足裏の情報をセルフケアに活かす方法もお伝えしています」(稲葉さん談)

 

 最初、稲葉さんがサロンを始めたのは、現在とは違う隣町の築40年の物件。

 

 サロンと居住空間を分けるのが難しかったそうですが、それがかえってお客様に気に入ってもらえたようです。

 

 とくに「子どもを連れてきてもよい」ことにしたところ、子育て中のお母さんに大変喜ばれたそうです。

 

 施術中は、目の届く場所で稲葉さんのお子さんと遊んでいてもらったり、ときには彼女がお客様のお子さんをおぶったまま施術することもあったというから驚きです。

 

「当時のサロンは、子どものおもちゃがあったり、ボールが転がっていたり。生活感が隠せない状態でした。今の常滑のサロンに引っ越したときに、このスタイルを変えようとしたんですが、常連さんから“あいさんらしくないね”って言われて。結局、施術スペースにお通しする前に、リビングでカウンセリングする流れで落ち着いています」(稲葉さん談)

 

いつも同じように。穏やかな心でお客様をお迎えしたい

 稲葉さんに、今後サロン開業を考えているセラピストへのアドバイスを聞いたところ、彼女自身のスタートアップ期について語ってくれました。

 

 聞けば、サロンオープンの1年ほど前から、ブログを書き始めたとのこと。

 

 サロン情報はもちろんのこと、子どもの事、飼い猫の事、養蜂の事などの日常の話題から、自分がセラピーに込めた想いまで。

 

 ブログはずっと続いていて、今や日報のようなものなのだそうです。

 

 こうしたブログを読み、内容に共感したお客様がアクセスしてくるため、「新規の方でもまるで以前からの友達のようにサロンに入ってくるんですよ」と、笑顔で話してくれました。

 

 また、サロンのオープン前に60名のモニターを募集したことも教えてくれました。

 定員はあっという間に埋まり、そのモニターさんの一部が、オープン後にも実際に来店してくれたそうです。

 

 こうした方法は、スタートアップ期に大切な「種まき」のようなものです。

 

 ブログやモニターは、サロンの存在やセラピスト自身のことを知ってもらうために、とても有効な方法です。

 

 誰がどんな思いで施術をし、それがどんな環境で行われるかを知ってもらうのです。

 

 さらに、モニターになってくれた人が、周囲の人に口コミで紹介してくれることも期待できます。

 

 次にサロンを続けるための大切なことについて聞くと、稲葉さんは「ぶれないことでしょうか」と答えてくれました。

 

「掃除などの準備やブログの発信もそうですが、この時間にやると決めるたら、それをぶれずに継続するようにしています。毎日、同じ事の繰り返しなんですけど、それを崩さないことが、自分の心の安定につながっています」(稲葉さん談)

 

 セラピストといっても、1人の人間。いつも同じように穏やかな心でお客様をお迎えするのは、意外と難しいものです。

 

 そこで、稲葉さんのように、営業日のルーティーンを決めることは、セラピスト自身の心を安定させるためには取り入れやすいことでしょう。

 

 同時に、セラピストがいつも笑顔でサロンに迎えてくれることは、お客様にとっても心の安らぎのために重要です。

 

 というのも、普段、私たちは日常生活の中で、少なからず人に気を遣って生活していて、程度の差こそあれ心と体は緊張を強いられています。

 

 たとえば、教師や看護師のような、センシティブな相手と常日頃、接している人は、心が安まる場が少ないと言われています。

 さらに、子育てや家事に忙しいとなれば尚更でしょう。

 

 そうした状況では、彼女のサロンのように、気取らず、楽しくおしゃべりできて、体も整うような場所が、いつも同じように迎えてくれる。

 

 このことが、どれだけ‟かけがえのない存在”になることか。

 

 そう考えると、稲葉さんのサロンに来るお客様の層が特徴的なことは、けっして偶然ではないようにも思えてきます。

 

「皆さんが健康で笑顔になるために、気持ちをリセットできるサロンであり、セラピストでありたい」と笑顔で語る稲葉さん。

 

 お客様にとって心と体を安定させるための時間と場所を用意することが、実はセラピストの大事な役割りであること、そしてそのスタイルがけっして1つではないことを改めて納得させられたインタビューでした。


校長からのメッセージ

 今回、自然体でインタビューに答えてくれた稲葉さん。

 きっと、普段からそうした態度でお客様に接していて、それがお客様を惹きつける魅力となっているのでしょう。

 

 上辺で誤魔化すことなく、気取らずに自然に人に接することが出来る。

 それは、お客様に安心感を与えられるセラピストが持つ特徴の1つです。

 

 そうしたセラピストに迎えられると、お客様も自分を飾る必要がなくなり、心から安らぐことができるはずです。

 

 自然体でお客様に向き合える能力、あるいは抵抗なく自己開示ができる能力は、子どもの頃から自然に培われている場合もあります。

 

 ですが、始めからそれを備えているセラピストばかりかと言えば、そうではないように思えます。

 

 多くの場合、自分をより良く見せる努力をする時期があって、「それが本当の自分なのか」と葛藤することになります。

 

 そして、何かしらのきっかけで、「飾らない自分」でも周囲に受け入れられることに気づき、肩の力を抜いて、自然体で生きることを身につけていくのでしょう。

 

 今は自然体が素敵な稲葉さんも、「サロン開業後の数年間は、気負っていた」と振り返ってくれました。

 

「セラピストとしてキチンとしなければ」という意識が強すぎて、疲れてしまっていたそうです。

 

 そして、柔らかく人に接することができるようになってからは、お客様が増えていったことも教えてくれました。

 

 稲葉さんが変わるきっかけについて話を聞いていると、どうも「養蜂」を始めたころとリンクするようです。

 

 実は彼女の家族は日本ミツバチの養蜂活動にも力を入れているそうです。



 ミツバチは、いつも同じルーティーンでせっせと仕事をします。

 そうした生き物の営みに触れたことで、自然の肩の力が抜けていったのではないかと思うのです。

 

 また、稲葉さんが2匹の猫(どてこ&でんがく)と暮らしていることも、無関係ではないように思えます。

 

 猫とともに暮らしたことがある方には分かると思うのですが、猫たちは自分が気持ちよく過ごせる場所を探す能力を持っています。

 

 これはミツバチも似ていて、気温や湿度、風通しの良さなどが適した場所でなければ、巣を作らないと言われています。

 ただ‟箱を与えれば良い”というものではないんですね。

 

 猫に対しても、ミツバチに対しても。

 ホストとして居心地の良い場所を提供することが人の役割であり、ともに生活してくれるかどうかは、本来は彼ら彼女ら次第です。

 

 この構図。サロンととてもよく似ているなと思いました。

 

 セラピストにできることは、お客様に居心地の良い場所と時間を提供することであって、サロンを選ぶのも、通い続けるかどうかも、結局はお客様次第。

 

 お客様を無理矢理にサロンに通わせることなどできません。

 

 逆に言えば、サロンに定期的にお客様にリピートされるということは、その方にとって居心地の良い環境がサロンに整っているということでもあります。

 

 こうした構図に気づいた時、自分が成すべき事に集中し始め、自然体になるセラピストは少なくないように思えます。

 

 そのきっかけは人それぞれですが、誰かから教わるよりも、海や山、動物など、自然から学び、気づきを得ることの方が多いのではないかと推測します。

 

 1日の働きを終えると、どこからともなく巣箱に戻ってくるミツバチたち。

 その姿を愛おしく思えるのは、つい私たち人間の営みと重ねてしまっているからかもしれません。

 

 養蜂とセラピー、まったく違うように見えて、実は根底でつながっているのかもしれないな、、そんなことをふと想像できたインタビューでした。

 

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