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高橋かおりさんのセラピストライフ〜自宅サロンセラピスト

2021/09/13
高橋かおりさんのセラピストライフ〜自宅サロンセラピスト

 現役の看護師として働きながら自宅サロンを経営し、さらにセラピストの育成や、セルフケア講座を開講している、高橋かおりさんのセラピストライフを紹介します。

【育成セラピスト】編はこちら

 

 高橋さんは東京都調布市にて、自宅サロンsalon結 を5年にわたって運営しています。


 メニューとしては、主にハーブボールセラピーとアロマセラピー、よもぎ蒸しなどを提供。週に3〜4日営業し、1日に1、2人のお客様をサロンにお迎えしています。


 お客様の多くは、更年期を迎えた「オトナ女子」たち。


 更年期に起こりがちな、心と体の悩みに寄り添いながら、女性の健康をサポートしています。


 高橋さんは、「自分が大切な存在であることに気づいてもらいたい」という思いで、お客様に接しているそうです。

 

 彼女のセラピストライフの特徴といえば、セラピストでありながらクリニックの婦人科に週に3日勤務する現役の看護師でもあることです。


 サロンとクリニック勤めの両立については、「けっこうハードですよ」と高橋さんは笑いながら話してくれました。

 

 なぜ彼女が現在のスタイルで活動するようになったのか、これまでの歩みを語ってくれました。

1人ひとりにとって“本当に大事なこと”を引き出してくれる存在

 高橋さんは看護学校を卒業後、総合病院に就職します。


 看護の仕事は、日中は忙しく病院中を歩き回り、患者さん全員に優しく接して、夜勤も頻繁にあります。


現在のコロナ禍で医療現場の逼迫が注目されていますが、普段から身体的にも精神的にも大変な仕事なはず。


 病院に勤めて13年ほどした30歳の頃、高橋さんは体を壊します。彼女の心臓が悲鳴を上げ、急な動悸や不整脈を起こすようになったのです。


「その頃は、仕事をめちゃめちゃがんばっていました。“私には何もない。だから、仕事を頑張らなきゃ自分の居場所がなくなる”って思っていたんです。今思えば、すごく自己肯定感が低かったんですね」(高橋さん談)

 

 病気に対しては投薬も手術もしましたが、残念ながら奏功することなく、体調は悪くなる一方でした。


 そんな状況に不安も強くなり、未来に絶望すらしたそうです。


そんな苦しい時期が2年ほど続いたある日、なんとなくアロマテラピーを受けたことで、精神的に大きな変化が起こったそうです。


「初めてのオイルトリートメントだったのですが、本当に丁寧に施術をしてくれて心の底から嬉しいという気持ちが沸き上がってきましたんです」と、その時の体験を高橋さんは振り返ります。


 彼女は、施術中、久しく感じていなかった「ぼーっとしていられる時間」に浸ることができたそうです。


 その時、「私って大切なんだな」と思うとともに、「ここで人生を諦めてどうするんだ」という思いがメラメラと湧き上がってきたといいます。


 そして、「よし、今できることをちゃんとやっていこう」と意識が切り替わったとのこと。


 それから、彼女は生活習慣を見直し、無理のない程度に運動を日常に取り入れるなど、少しずつ、日々の生活を整えていきました。


 すると、少しずつ体調も変化していき、発病から4、5年かけて、医師から「問題ない」と言われるほどに健康を取り戻したのです。

 

「1人ひとりにとって“本当に大事なこと”を引き出してくれる、セラピストって本当にすごいなって感銘を受けました。それで、私もなれるのだろうかって」(高橋さん談)

看護師とセラピスト。二つの立場を大切にする生き方

 その後、高橋さんは看護師として働きながらスクールに通います。そして、アロマセラピーやハーブボールセラピストの資格を取得して、自宅の1室をサロンとして改装します。


 こうして、彼女のセラピストライフが始まったのです。

 

 ただ、開業当初はお客様が少なかったこともあり、高橋さんは下肢動脈瘤の治療をするクリニックにも勤めたそうです。


 セラピストとして身に付けたトリートメントスキルが役立つと考えたからです。


 クリニック勤めを続けるうちに、徐々にサロンのお客様も増えていきます。


 そして、サロンで自分の施術だけでは難しい不調や悩みを持つお客様に接するたびに、高橋さんはもっと学ばなければという思いが強くなったそうです。


 とくに更年期世代のお客様が多かったこともあり、婦人科の医療現場に入ろうと決めます。

 

「医療を活用するところと、セラピストができるところ。その両方が、女性の健康をサポートするには必要。だから、私は両方でアプローチしていきたいと思ったんです」(高橋さん談)

 

 こうして始まったのが、看護師とセラピストの二つの立場を大切にする生き方。


 看護師としての経験と学びがセラピストとしても活かせることを、彼女は実感しています。


なお、高橋さんのセラピストとしての活動は、クリニック側にも理解をしてもらえており、必要に応じてサロンに来た方に受診をお勧めすることもあるそう。サロンとクリニックの両方でケアしているお客様が何人もいるとのことです。

 

 高橋さんがサロンのコンセプトとしているのが「自分を大切にするということ」。


 現代の女性は抱えているものが多すぎて自分のことをないがしろにしてしまっている人がいる、それが女性の心と体に負担になって、不調として表れているのかもしれないと彼女は言います。


 だからこそ、まず「自分を大切にすること」を思い出してほしいという思いを、高橋さんはセラピーに込めています。


「こんなに自分のことを丁寧に扱ってもらったことがなかった。もっと自分のことを大切にしなくちゃ」……そんな感想を寄せてくださるお客様もいるのもうなずけます。


「女性の健康や美しさの土台は、“自分を大切に思うこと”です。そこに気づけた方は、行動がどんどん変わっていきます。それを手助けすることは、セラピストとしての自分の大きな役割だなと、感じます」(高橋さん談)


校長からのメッセージ

 看護師や介護士など、特別な職業能力を持ちながら、セラピーを活用する人が増えています。


 職場にセラピースキルを持ち込むケースもあれば、高橋さんのように職業能力をサロンワークに活かすケースもあります。


 西洋医学と東洋医学、あるいは近代医療と伝統療法は、対立するように語られることもありますが、最近は高橋さんを含めて、その境界線を華麗に飛び越えていくセラピストの活躍が見られるようになりました。

 

 彼女の場合、医療とセラピーの双方の得意・不得意を、まさに身をもって体験しています。だからこそ、医療とセラピーを両立させることの価値を確信しているのだろうと思います。


 高橋さんにセラピストとしてのポリシーを聞いたところ、

「自分にできることと、できないことを明確にすることですね。トリートメントだからこそできることも、伝えられるものもあります。けれども、自分では分からない、できない場合は、それが解決できる専門家につなげていくことも、セラピストとしての責任だと思います」(高橋さん談)


 こうした高橋さんのスタンスは、彼女が勤めるクリニックが共感してくれているポイントなのだろうと思います。

 

 ちなみに、高橋さんは広告など出さず、主にSNS(Instagramやブログ)などを利用しています。


 何気ない日常の話題やセルフケアの他に、婦人科に勤める中で気がついたことや知ったことをセラピストの視点で分かりやすく伝えるようにしているそうです。


 医療の知識が背景にあることや、医療とセラピーのバランスが取れた理念や活動を発信することが、お客様の安心感や信頼感につながり、彼女のサロンにアクセスしてくるのだろうと思います。

 

 高橋さんは、「これからも、セラピストとしても、看護師としても、助けを必要としている女性と関わり続けていきたい」と笑顔で話してくれました。

 

 人の生き方は多様で多彩です。西洋医学と東洋医学、あるいは近代医療と伝統療法など様々な考え方が対立する関係ではなく、状況や理解に応じて上手に取り入れられていくことこそ、誰もが「自分のことを大切に思える」社会が近付くのかもしれません。


 きっと彼女の思いに共感するセラピストは、これからも増えていくと思います。


salon結