鹿児島県鹿児島市で5年にわたって個人サロンを運営している通山彩美さんのセラピストライフを紹介します。
現在彼女は、ハワイ伝統療法であるロミロミを提供するサロン「Holoholo」を運営しています。
ロミロミの他にも、頭皮へのアプローチによって深いリラックスをもらたらす施術「アクセスバーズ」、お手紙のやりとりによって行うセッション「月よみレター」など。
「Holoholo(ホロホロ)」とは、ハワイの言葉で「お散歩」のこと。通山さんはサロン名に「お客様にはお散歩に出るくらいの気軽さでサロンに来てほしい」、そして「お客さまのココロとカラダが、ほろほろになりますように」という祈りを込めたそうです。
月の満ち欠けのリズムに合わせて
彼女のサロンスタイルには特徴があります。それは月の満ち欠けのリズムに合わせスタイルを変化させているというもの。
上弦から満月までが「チャージ期」、下弦から新月までが「デトックス期」で、それぞれその時期に最適な施術方法をする他、お出しするお茶まで変えています。
そして、新月から上弦までの期間は施術をせず、自身の新たな学びの時間と、オンラインなどでの情報提供の時間にする、インプットとアウトプットの期間としているそうです。
人の心身の状態が月のリズムに合わせて変化するならば、それに合わせて提供するメニューを変えていく。
このスタイルは、通山さん自身とお客様、どちらにとっても、月のリズムにマッチした生き方に自然とシフトしていけるような、そんな一つの形といえます。
現代人の多くは、時計が刻む年中変わらない“人工的なリズム”によって生活することを余儀なくされています。
1日の概日リズムや月の周期という自然のリズムからほど遠い生き方をしていることで、気づかないうちに心も体も疲労してクタクタになっている人も多いのかもしれません。
風が“ようこそ!”と迎えてくれたような
セラピストになる以前は公共交通機関で働いていた通山さんも、実は“人工的なリズム”によってクタクタになってしまった1人でした。
元来、接客することも、人と話すことも好きだったからこそ始めた仕事でしたが、そこは日々、秒単位での対応を迫られる環境で、お客様1人ひとりとじっくり向き合う事はできませんでした。
そんな「秒単位で人生が決められてしまっているような」生活を13年も続けるうちに、心身ともに疲弊していったそうです。
休職を決めた通山さんは、以前に胸がすくような体験をしたハワイへ行こうと決めました。
「初めてハワイに降り立ったとき、風が“ようこそ!”と迎えてくれたような気がしたんです。それで、疲れ切って休職した時にも、ハワイへもう一度行きたいって、自然に思っていました」(通山さん談)
ハワイへの旅行についてインターネットで検索するなかで、通山さんは「ロミロミ」という聞き慣れない言葉を耳にします。
そこからハワイの文化、アロハスピリッツについても興味を広げていくこととなります。
そして、ロミロミ留学をコーディネートする企業が国内にあることを知り、その説明会で出会った仲間とともに留学を決意します。
あ、わたしこれ好き
1月以上におよぶハワイでのロミロミ留学の中で、彼女はとても不思議な体験をしたそうです。
「最初は解剖学などの難しい座学があって戸惑ったのですが、実技で初めて両腕にオイルを付けて人の背中をマッサージしたとき、自分の全身に電流が走ったような感覚があったんです。その時、“あ、わたしこれ好き!”って。」(通山さん談)
また、施術モデルでロミロミを受けているうちに、自分でも驚くほど体が活力を取り戻していき、次第に心も元気になっていったそうで、これも通山さんにとっては驚きだったそうです。
ロミロミの学びの日々は、あっという間だったそうで、そこで教わったことは、本人も他の参加者も驚くほどの早さで、自然に通山さんに染み込んでいきました。
帰国後、こうして通山さんは個人サロンをオープンします。
以前の自分のように心身ともに疲弊しているお客様1人ひとりに「五感を旅する」ような体験を通して、まず身体を回復させていくこと、そしてそこから心にも元気を取り戻せるような、そのためにセラピーを提供し続けています。
校長からのメッセージ
「Holoholo」でのロミロミは150分13500円など。その中でも一人一人に合わせたセラピーがなされています。
集客については、今はInstagramが中心とのことです。
ここに通山さんは自分の思うこと、考えていることなどを発信しています。
新規のお客様は、そうした投稿を読んでアクセスしてくるのだそうです。
「私の投稿を読んでくれた上での予約なのだから、お互いに“好きになれそう”って人がやってくると思っています」と通山さんは笑顔で話してくれました。
SNSなどで自ら発信するということは意識するしないに関わらずそのままセラピストの想いや姿が伝わるものです。
セラピストやサロンのスタイルに共鳴してくれるお客様とつながる方法としては、今後も広まっていく形なのかもしれません。
個人サロンを運営することに関して、「最初は周りと比べて劣等感ばかりだった」と言います。
足らないことに気づくたびに、それを補うために学ぶという「無限ループ」に陥っていたそうです。
しかし、仲間のセラピストと交流するなかで、「正解はないよ。自分らしくやればいいんだよ」と言ってもらえたこと、さらに、彼女の手を見たり、触ったりしたセラピストから「あなたの手は気持ちいいだろうな」と言ってもらえたことが自信になったそうです。
「最近、“もしサロンがなくなっても、この手は残るんだ”、という思いが浮かんで、ストンと気持ちが落ち着いたんです」(通山さん談)
今後、個人サロンを始めたいセラピストへのアドバイスを求めたところ、
「知識不足とか経験不足に不安があったとしても、今以上でも今以下でもない。私は私。他の人と比べずに、今の私のベストを提供できるようにすればいい。お客様のために努力してきたことを、自分自身が知っているでしょう?って、昔の自分に言ってあげたい」とこぼれるような笑顔で彼女は話してくれました。
普段の生活で、人に触れ、触れられるという機会が少なくなりつつある中で。セラピスト自身とお客様の双方が施術を通して自らを回復させたり、高めたりできることは、なによりセラピスト自身が体験していることだろうと思います。
ロミロミ文化にはそうした側面もあるのかもしれないと、通山さんはご自身の体験から考え、いずれは子どもを対象とした「キッズセラピー教室」のようなこともしていきたいそうです。
今後も、お客様を含めて彼女のセラピストライフに関わる人たちを、きっと「五感を巡る旅」へと連れていってくれるのでしょう。